Linked Horizonが『総員集結 凱旋公演』を1月13日と14日に横浜アリーナにて行なった。最新アルバム『進撃の軌跡』とともに敢行され、大成功を収めた全国ツアー。その集大成かつ、さらにブラッシュアップされた演奏や演出も印象的だった本公演。海外を含め全36公演を経て、再び鎖地平団団員(演者&ファン)ともに総員での集結や、5年越しの同会場での再会等、銘打たれた“総員集結”を随所で実感したライヴであった。その最終日、14日の模様をレポートするーー。

 会場内に入った瞬間から物語は始まっていた。サンドストーム音が場内に吹き荒れ、ステージには『進撃の巨人』の世界に迷い込んだかのように巨大な壁だけが見える。場内が暗転すると、“第一壁”が地響きをたて神々しく開いていく。その向こうに現われる総勢80人に及ぶフル演者たち。壮観だ…。この第一壁は、ほぼアルバム通りに進行された。1曲目は「二ヶ月後の君へ」。会場中を高い壁の向こうに広がる見たことのない壮大な景色へ誘う。“よう、5年ぶりだな”。総員とともに、この地に再び立てた喜びを語るメインヴォーカルであり、鎖地平団団長のRevoの第一声だ。“全ての心臓を捧げて、この長丁場、ともに駆け抜け、全員で最後を飾ろう!”と、会場の団員たちと力強いアライアンスを交わす。以後、24人ものクアイアが生命力と賛美の歌声を響かせた「紅蓮の弓矢」、作品以上の躍動さを帯びた「紅蓮の座標」、アクティブなダンサーたちと会場をバトルフィールドへと惹き込んだ「自由の代償」がRevoの紡ぐ歌物語とともに、終始楽曲とシンクロし映し出されるアニメ『進撃の巨人』の各場面との融合を魅せる。

 対照的に女性シンガーたちは、戦火の中、束の間の安堵や至福を与えてくれた。「もしこの壁の中が一軒の家だとしたら」(柳麻美)ではノスタルジックさとダイナミックさが広がり、「14文字の伝言」(松本英子)では男子の母親のような目線と慈しみが包み、深い森へと誘った「最期の戦果」(月香)が最後まで勇敢に戦った兵士の戦果を浮かばせた。また、「双翼のヒカリ」(MANAMI)からは安堵や温もりを感じ、「彼女は冷たい棺の中で」(福永実咲)では葛藤の中、それでも突き進んでいく力強さが歌われた。壮観だったのはウォール教(『進撃の巨人』中の宗教団体)のアンセムとも言える「神の御業」の際であった。歌姫5人を中心にクワイア、バンド、ストリングス、ダンサーメンバーが歌い、会場中が合わせて祈りを捧げた、このシーン。そして、「心臓を捧げよ!」ではまさに総出動。会場中一丸となり雄々しく歌い、終えると再び壁は閉まった。

 しかし、この日は二部式。“第二壁”が開き、そこからはゲストヴォーカルも交え、Linked HorizonとSound Horizonの楽曲が縦横無尽に飛び出し、会場を沸かせ、盛り上げ、一緒に歌わせた。クアイアや交響楽団も交え、違った生命力が宿された各曲。いつもとは違った曲の伝え方に感動を覚える。疾走感とともに「Theme of the Linked Horizon」が会場を再び走り出させれば、ノスタルジックさを交えた可愛らしい歌声も印象的だった「風の行方」(Ceui)、 ミディアムな「花が散る世界」(Joelle)では、会場が聴き浸り、場内各人が歌物語を広げていく。また、しっとりと歌われた「虚ろな月の下で」(RIKKI)、一変してスリリングかつ会場をグイグイ惹き込んだインスト「戦いの果てに」、「エルの肖像」では月香とともに会場も一緒に歌う。また、凝縮してメドレー的に伝えられた「凱旋の【Linked Horizon ARENA】」では、めまぐるしい展開の中、会場も交え全員参加で駆け抜けた。メンバー紹介を経て、最後は総出演で完全熱唱すべく「青春は花火のように」がステージ&会場交え歌われる。まさに超大団円。最後にはスクリーンに大花火が映し出された。そして、グランドフィナーレは鎖地平団の総員が一列に結集。“心臓を捧げよ!”“イェーガー”の交歓が成された。演者がみな捌け、最後はRevoがひとり残り、ツアーが終わる寂しさと名残惜しさ、それを超えた次の“約束の地”について語られ、最後は会場のみで「心臓を捧げよ!」が熱唱された。

 まさに総動員で作品、そしてツアーとしての『進撃の軌跡』の集大成と、これまでの楽曲に違った息吹と生命力を与え、終演後も個々の中に終わらない物語を広げてくれた、この日。次なる約束の地での再会を約束してくれたのも心強い。その際は、少々気が早かったが、その地に共に立っている光景を思い浮かべる自分がいた。

撮影:阿部薫、江隈麗志、佐藤祐介/取材:池田スカオ和宏

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